「こころの健康を守り推進する基本法の制定を求める意見書」について、提案理由の説明を以下のように行いました。
「心身の健康は、一人ひとりの国民の基本的な権利であり、
社会の活力と発展の基盤をなすものです。
しかしながら 日本では 平成10年から13年連続で
毎年3万人以上の人々が自殺によって命をなくしています。
また320万人を超える方々、つまり国民の40人に1人以上が
精神疾患のために医療機関を受診しており、
「国民のこころの健康危機」といえる状況になっています。
ひきこもり・虐待・路上生活など多くの社会問題の背景にも、
こころの健康の問題があるといえますし、
自殺と精神疾患との関連性も指摘されており
心の健康問題が新たな社会的リスクとして顕著になってきています。
松山市では精神障害者保健福祉手帳の所持者が、
21年度末1,943名、22年度末2,178名、
精神障がい者の「自立支援医療制度」の承認件数は、
21年度末7,710件、22年度末8,773件と増加傾向です。
WHO(世界保健機構)によると、病気や怪我、自殺や事故、犯罪などが
どれだけ 社会に影響を与えるかを測る
「障害調整生命年(DALY指標)」においては、日本や先進国では
命と生活に最も影響するのは、精神疾患であることが明らかになりました。
平成23年7月6日、厚生労働省は「4大疾病」の
「がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病」に精神疾患を加えて、
「5大疾病」とする方針を決めました。
がん152万人、糖尿病237万人に対して精神疾患は323万人に上り、
重点対策が不可欠と判断されたのです。
平成18年4月から身体・知的・精神の3障がいを
一体的に支援する法律がつくられましたが、
精神疾患へのサービスの基盤体制は遅れています。
医療において精神科の医師・看護師の配置基準は
精神科特例があるため一般科に比べて低く、
重労働から就労環境が悪く、慢性的な人手不足です。
長期の心的障がい者の家族が抱える困難は、
一般の人々の3倍であるとも言われ、
家族への精神疾患・治療についての情報提供や
実際的・情緒的な支援などが必要ですが、
ようやく家族教室などが開かれ始めたところです。
厚生労働省の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」
を受けて設立された、「こころの健康政策構想会議」では、
家族・当事者・医療福祉の専門家及び学識経験者が、63回の会議を重ね
平成22年5月末に厚生労働大臣に
「こころの健康政策についての提言書」を提出しました。
その中で、①精神医療改革 ②精神保健改革 ③家族支援を軸として、
国民すべてを対象とした、こころの健康についての
精神保健・医療・福祉の総合化と、総合的・長期的な政策を保障する
「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を求めています。
今、日本における精神保健・医療・福祉のサービスの現状は、
「こころの健康」についての国民ニーズに応えられるものではありません。
こころの健康危機を克服し、安心して生活ができる社会、活力ある社会が
一日も早く実現できることを念願し、本案を提出いたします。」と。
出席議員全員の賛同を頂き採択されたことは とても嬉しいことです。
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